(5)
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onceとever
onceとeverはちょうどsomeとanyの関係に似ており、一般にonceは肯定文に用いられ、everは疑問文・否定文および条件や比較を表す文に用いられます。
(a)
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once
「かつて」「昔」の意味を持つ副詞で肯定文に用い、文頭、本動詞の前、または文尾に置かれます。
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Once there was a giant named Goliath.
(昔、ゴリアテという名の巨人がいた)
There once lived many people by the river.
(かつてその川辺には多くの人々が住んでいた)
I was very interested in jazz once.
(以前私はジャズに大変興味を持っていた)
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[注]
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onceは、「数詞」のところでも触れたように、「1度」の意味もあります。
この場合には肯定文だけでなく、否定文・条件文にも用いられます。なお、「1度」の意味を表すonceには強勢が置かれます。
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I have not seen him ónce.
(=I have never seen him. 私は彼には一度も会ったことはない)
If we ónce lose sight of him, we shall never see him again.
(一度彼を見失ったら、二度と姿を見ることはないだろう) |
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(b)
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ever
「いつか」「いままで」の意味を表し、疑問文・否定文のほか条件を表す文でも用いられます。
everはふつう動詞の前に置かれますが、be動詞や助動詞があるときはそのあとに置かれます。
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Have you ever been to Europe?
(あなたは今までにヨーロッパに行かれたことがありますか)
Did you ever see him while you were in Tokyo?
(在京中彼にお会いになりましたか)
Nothing ever happened in your absence.
(ご不在中は何事も起きませんでした)
If you ever come this way, don’t forget to drop in.
(いつかこちらへお出かけの折は、ぜひお立寄りください)
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[注]
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everは「いつも」「いくらでも」の意味で肯定文や比較を表す文中で用いられることがあります。
また強調語として疑問詞などを強めて「いったい」の意味も表します。
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He is better than ever. (彼はいつもより〔調子が〕よい)
He is the greatest poet that ever lived in England.
(彼は英国の生んだ最大の詩人である)
Thank you ever so much. (ほんとうにどうもありがとう)
Whatever is the matter? (一体全体どうしたのだ) |
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(6)
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here、there
here、thereはともに場所を表す副詞で、hereは「ここに」の意味で身近な場所を、thereは「そこに」の意味で離れた場所を表すことは周知のことですが、それ以外にも注意すべき用法があります。
(a)
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here
1. 名詞として:「ここ」「この場所」「この点」
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in、near、through、up、behind、over、fromなどの前置詞と結びついて1つの成句をつくります。
It’s ten minutes’ walk from here to the station.
(ここから駅まで歩いて10分です) |
2. 時を表す副詞として:「この時に」
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Here he stopped speaking and looked up.
(この時彼は話をやめ、顔を上げた) |
3. 間投詞として:「ほら」「さぁ」
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相手の注意をひいたり、たしなめたり、なだめたりするときに用いられ、文頭に置かれます。
Hére it is! (さぁここにある、さぁこれあげよう)
Hére you are! (はい、これ - 探し物などを差し出すとき)
Hére I am〔we are〕! (さぁ着いた、ただいま)
Hére,
hére, don’t cry! (さぁさぁ、泣くのはよせ!) |
[注]
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この用法で主語が名詞のときは、ふつう「Here+動詞+主語」の順序になります。
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Here is
the bus! (ほら、バスが来るよ)
Here comes the snow again! (ほらまた雪が降りだした) |
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4. その他慣用表現として
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Here goes! (さぁ始めるぞ、そーれ!)
Here’s good health to you! (=I wish
you good health.)
(〔乾杯して〕ご健康を祝します) |
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(b)
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there
1. 名詞として:「そこ」「あそこ」
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by、near、fromなどの前置詞と結びついて1つの成句を作ります。
He lives somewhere near there. (彼はそのあたりのどこかに住んでいる) |
2. 形容詞として:「あの~」「あそこの」
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Hand me that book there. (あそこのあの本を寄こしてください) |
3. 間投詞として:「そら」「ほれ」「よしよし」「みなさん」
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hereと同じように相手の注意をひいたり、はげましや慰めを与えたりするときに用いられ、文頭に置かれます。
Thére she comes. (あれ、彼女がやってくる)
Thére goes the bell! (あれ、ベルが鳴るぞ)
Thére, thére, never mind. (よしよし、気にするな)
Hello thére! (皆さんこんにちは〔今晩は〕) |
4. There is〔are〕~の構文として
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この構文は「~がある〔いる〕」という意味で、すでに「文型」の項でも少し触れました。このthereは日本語に訳す必要のない、いわゆる形式上の主語で、is〔are〕のあとに不定の意味を表す真主語が来ます。
“There is a library in this town, isn’t there?”
“Yes, there is.”
(「この町には図書館がありますね」「はい、あります」)
There are many places to visit
in Kyoto.
(京都には訪ねてもよいところがたくさんある) |
なおこの構文で、beのほかにlive、come、seem、appearなどの動詞を用いることもできます。
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There live about one billion〔one thousand million〕people
in China.
(中国には約10億の人が住んでいる)
There came to the village a stranger.
(見知らぬ人が村にやって来た)
There seems (to be) no doubt about it.
(それには疑問はなさそうだ)
There appeared to be no one in the house.
(その家にはだれもいない様子だった) |
[注]
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この構文の発展として、thereは不定詞・分詞・動名詞などと一緒になって、ひとつの句〔節〕の働きをすることもあります。
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We don’t want there to
be another war.
(我々はまた戦争が起こることを望まない)
There being no taxis, we had
to walk all the way to our destination.
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タクシーがなかったので、我々ははるばる目的地まで歩かねばならなかった) |
There is no telling (=it is impossible
to tell) when he will arrive.
(いつ彼が到着するのか皆目わからない
―― 言ってもはじまらない)
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